新NISAを始めてみたけれど、株価が下がって「含み損」になっている。このまま続けて大丈夫なのか、いったん売って現金に戻した方がいいのか。そんな不安を感じている方は多いと思います。

安心してください。株価が揺れているときに不安になるのは、あなただけではありません。ただ、ここで焦って売ってしまうのは、もしかしたらもったいないかもしれません。

本記事では、人気の投資信託「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」、通称オルカンについて、株価が下がっても手放さない方がいいと僕が考える理由と、長く続けた人が報われやすい仕組みを、YouTubeでお話しした内容をもとにまとめます。

※この記事は2025年5月に公開した動画をもとにしています。数字は当時のものです。また、あくまで僕個人の考えであり、特定の商品をすすめるものではありません。投資の判断はご自身でお願いします。

スマートフォンを手に、伸びていく棒グラフの積み木を前にする男性

1. 株価が下がったときに、焦って売らない方がいい理由

2024年の終わりから2025年の初めにかけて、株式市場はかなり荒れました。アメリカの景気が少し鈍っているというニュースが出て、アメリカの代表的な株価指数であるS&P500も大きく下がりました。

SNSを見ても「新NISAをやめようかな」「いったん現金に戻そう」という投稿が目立ちましたよね。

1-1.「現金を多めに持つ」は短期売買の戦略

株が下がりそうなときに、投資を控えて現金を多めに持っておく。こういう戦略もあります。もちろん悪いことではありません。

ただ、これは基本的に、短い期間で売り買いする人の戦略です。新NISAでオルカンに積み立てている人は、20年くらいの長い目線で考えるのが基本のスタイルです。短期の値下がりに引っぱられて全部売ってしまうのは、とてももったいないんです。

1-2. 不安になったら、ファンドの中身を見直してみる

「下がっていて損している気がする」と感じたら、まず自分が買っている投資信託の中身を見直してみてください。どんな国や企業に投資しているのか。いまの値下がりは一時的なものなのか、それとも根本的な問題があるのか。

調べてみると、意外と冷静になれます。そして「このファンドはよくできている」と納得できれば、短期の値下がりも気にならなくなります。むしろ「いまは安く買えるチャンスかもしれない」と考えた方が、気持ちもずっと楽になります。

2. オルカンとはどんな投資信託か

オルカンの国別構成(アメリカ約60%、日本約5%、ヨーロッパ約15%、新興国約10〜12%)を示すスライド

オルカンは、ざっくり言うと、1本で世界中の株にまるごと投資できる投資信託です。

アメリカのAppleやGoogle、日本のトヨタやソニー、ヨーロッパのネスレ、さらにインド・ブラジル・ベトナムなどの新興国まで、50か国以上、3,000社以上の企業が含まれています。地球全体に投資しているようなイメージです。

動画の時点では、中身の割合はおおよそ次のとおりでした。

  • アメリカ:約60%
  • ヨーロッパ:約15%
  • 新興国(インド・中国・ブラジルなど):約10〜12%
  • 日本:約5〜6%

2-1. オルカンが選ばれる3つの理由

  1. 分散投資がかんたんにできる:たくさんの国と会社に分けて投資しているので、どこか一つが不調でもダメージが小さくなります
  2. コストが安い:信託報酬(運用の管理料)は、動画の時点で年率0.05775%。10万円を預けても、1年で約58円です
  3. 特別な知識がいらない:世界の経済が長い目で見て成長する限り、オルカンも自然と伸びていく設計になっていて、投資先を選ぶ目利きがいりません

2-2. 分配金を出さず、利益をそのまま再投資する

オルカンは分配金を出さず、出た利益をそのまま再投資に回すタイプです。これが、あとでお話しする「複利の力」を生かす大きなポイントです。

また、毎月同じ金額を積み立てていけば、価格が安いときには多く、高いときには少なく買うことになります。これをドルコスト平均法と言います。積み立てで使うなら、オルカンは最有力の候補だと僕は考えています。

3. 日本・アメリカ・世界の株式市場はどうなっている?

オルカンを持っているということは、すでに世界中に投資しているということです。日本やアメリカだけでなく、世界全体の流れを知っておくと、投資への安心感がぐっと増します。

3-1. 日本株:追い風が吹いている

長くデフレが続いた日本ですが、動画の時点では日本株は意外と好調でした。理由は大きく3つです。

  • 円安などを追い風に、企業の利益が過去最高レベルにある
  • 「利益をもっと株主に返そう」というルールが強まり、企業が株主に優しくなっている
  • 世界から見て日本株は割安だと見られ、海外の投資家が注目している

オルカンの中にも日本株は5〜6%ほど入っているので、どの日本株を買えばいいか分からない人も、オルカンを通じて自然と日本株を買っていることになります。

3-2. アメリカ株:一時は下がったが、基盤は強い

オルカンの約6割はアメリカ株なので、アメリカ経済の動きはオルカンの成績に大きく影響します。2025年の前半は、インフレや雇用への不安から景気に暗い雰囲気がありました。それでも、収録した5月の時点では、S&P500は下落前の水準近くまで戻してきていました。

アメリカ株は、長い目で見ると右肩上がりの傾向で来ています。多少の政治リスクがあっても、世界を代表するアメリカの企業は成長を続けてきました。オルカンなら、そのいいところを取り込めます。

3-3. 世界全体:不安なニュースはあっても、経済は成長している

ロシアとウクライナの戦争、アメリカと中国の対立、自然災害や気候変動など、ニュースを見ると不安な話ばかりです。政治や軍事の問題が経済に影響する「地政学リスク」も無視できません。

それでも、国際通貨基金(IMF)は、2025年から2026年の世界の実質GDP成長率を3%前後と見込んでいました。いろいろな問題がありながらも、世界は少しずつ豊かになっているわけです。とくにインドやインドネシア、ベトナムなどの新興国には、まだまだ伸びしろがあります。インドの個別株を自分で買うのはハードルが高いですが、オルカンなら自動でカバーしてくれます。

4. 長く続けた人が報われやすい3つの理由

芽が出たコインの山と豚の貯金箱で表した、資産が育つイメージ

ここからが一番大事な話です。なぜ長く続けることが成功につながりやすいのか。僕は、3つの理由があると考えています。

4-1. 分散投資:一つが転んでも、ほかがカバーする

ある国が不景気になっても、ほかの国が伸びてくれればカバーできます。これは仕事と同じです。1社の大きなクライアントに頼りきっていると、その会社が倒れたときに一緒に倒れてしまいますが、取引先を分けておけば、1社を失ってもほかで補えますよね。

4-2. 低コスト:手数料が成長を邪魔しない

手数料は、とにかく安い方がいいんです。手数料は会社でいう固定費のようなもので、安ければ資産が増えるスピードを削られません。証券会社も、手数料の安いところを選ぶのがおすすめです。

4-3. 複利:お金がお金を生んでくれる

利益をそのまま再投資していくと、お金がお金を生んでくれる状態になります。これが複利の力です。

動画で紹介した数字(2010年から2025年までの15年間の年率リターン約8.27%)で計算すると、毎月3万円を積み立てた場合はこうなります。

積み立て期間元本最終的な金額(試算)
10年360万円約557万円
20年720万円約1,828万円

20年で、元本の約2.5倍です。これが時間を味方につけた複利の力です。もちろん、過去のリターンが将来も続く保証はありません。それでも、下がったタイミングでやめてしまうと、その後の回復や成長を取りこぼしてしまいます。

なお、新NISAは非課税で保有できる期間に期限がありません。長く持ち続けるほど、非課税と複利のメリットを生かしやすい仕組みです。

5. 投資は「数字」よりも「気持ち」との戦い

電車の窓から見える田園と山の景色

資産が減っていると、どうしても不安になります。僕もなります。投資は、実は数字よりも気持ちとの戦いの面が大きいんです。

SNSには「新NISAは失敗だった」といったネガティブな投稿もありますが、その多くはノイズにすぎません。10年後、20年後に「あのときやめずに続けてよかった」と思えるかどうかは、いまやめずに積み立てを続ける勇気にかかっています。

オルカンに投資している人は、いわば「世界経済という列車」の乗客です。列車は時々揺れたり、少し止まったりします。でも行き先は未来に向かっています。焦って途中で降りたり乗り換えたりせず、座ったまま景色を楽しむ。それが、オルカンの正しい乗り方なのではないかと思います。

6. まとめ

株価が下がると不安になるのは当然です。でも、新NISAでのオルカン積み立ては、10年、15年、20年という長い期間で考えるものです。

  • 短期の値下がりで焦って売らない。不安になったらファンドの中身を見直す
  • オルカンは、分散・低コスト・再投資の3つがそろった投資信託
  • 世界経済は、問題を抱えながらも成長を続けている

一時的に上がったり下がったりはしても、長い目で見れば世界経済は右肩上がりで進んでいくと、僕は考えています。20年後に、この記事を読み返して一緒に笑えたらうれしいです。