Gmailを開いてメールを読み、Googleカレンダーで空いている日を探し、その候補をChatGPTに貼り付けてメールの文面を作ってもらい、最後にGmailに貼り付けて送る。昔に比べれば圧倒的に便利になりましたが、いくつものツールを行き来するのは、正直ちょっと大変だと感じていませんか。

本記事では、僕の会社アクエリアスで実際に使っているAIエージェント「Manus(マナス)」と、AIとほかのアプリをつなぐ仕組み「MCP」について、何ができるのか、どう使っているのかを実例つきでご紹介します。

※この記事は2025年10月に公開した動画をもとにしています。動画の公開後、2025年12月にMetaがManusの買収を発表しました。料金やプランの内容はその後変わっている可能性があるので、使う前に公式サイトで確認してください。

明るい部屋でノートパソコンに向かい、笑顔で作業する女性

1. Manusとは?作業まで実行してくれる「自律型AIエージェント」

Manusは、自律型のAIエージェントです。多くの方は、AIを「良き相談相手」のような存在だと捉えていると思います。Manusは違います。相談に乗るだけでなく、実際の作業まで行い、成果物を出してくれるAIです。

1-1. 名前の由来はラテン語の「手」

Manusという名前は、ラテン語で「手」という意味です。その名のとおり、僕たちの頼れる右腕になってくれるAIです。

1-2. チャット型のAIとの違い

これまでのチャットボット型のAIは、質問に答えたり、文章を作ったりするのが中心でした。Manusは、ユーザーの指示をもとに自分で考えて動き、具体的な成果物(アウトプット)まで出してくれます。

一言でいえば、ただ答えるだけでなく、自分でタスクを実行して結果を出してくれるAIです。超優秀なアシスタントができたようなイメージで、仕事の生産性を大きく上げてくれます。

2. Manusでできること3つ

では、Manusは具体的に何ができるのでしょうか。主なポイントを3つご紹介します。

2-1. 一度の指示で、何段階もある仕事をこなす

Manusにやってほしいことを一度伝えるだけで、何段階にもわたる作業を自分で計画して、自動で進めてくれます。たとえば、クライアントについての情報収集、市場動向の調査と分析、レポートの作成までの流れを、丸ごと任せることができます。

作業中は、Manusが裏で何をしているのかが、もう1つのパソコン画面のような形でリアルタイムに表示されます。途中経過が見えるので安心して任せられますし、「そうやって調べるのか」と勉強にもなります。

2-2. リサーチ、Webサイト、スライド、画像・動画の作成まで1つでできる

Manusには、生産性を上げてくれる機能がひとまとめに入っています。

  • ワイドリサーチ機能
  • Webサイト作成機能
  • スライド作成機能
  • 画像・動画・音声の生成機能

特にすごいのが、ワイドリサーチ機能です。100以上のAIエージェントが同時に動き、それぞれがタスクを分担してリサーチを進めます。

たとえば競合企業を調べるとします。100社以上の企業サイト、IR、SNSを人の手で調べたら、数週間かかるかもしれません。ワイドリサーチ機能を使えば、複数のAIが同時に情報を集めて比較し、競合分析レポートや業界動向のまとめを数分で作ってくれます。

ほかにも、指示文を入力するだけで、プログラミングなしでWebサイトができあがる機能もあります。スライド作成機能も使ってみましたが、テキストを入力するだけで、構成からデザイン、グラフや画像まで、まとめてかなりいい感じに作ってくれました。

2-3. 「結果を出す」ことに集中したAI

僕がManusで一番大事だと思っているのが、この点です。一般的な生成AIは、文章の作成や質問への回答が中心です。Manusは、最終的な完成物を出すことに重きを置いています。

途中の下書きやアイデア出しで終わるのではなく、レポートなら完成したレポート、プログラムなら完成したプログラムまで、やりきってくれます。動画の時点で、Manusは評価用のベンチマークでも高いタスク完遂能力を示していました。

相談だけでなく、実行まで任せられる。まさに最強の秘書です。

3. MCPとは?AIと外部アプリをつなぐ「AI界のUSB-C」

MCPを「AI界のUSB-C」にたとえ、GoogleドライブやGmailとAIを標準規格でつなぐ仕組みを示した図解

MCPは「Model Context Protocol(モデル・コンテキスト・プロトコル)」の略です。平たくいえば、AIとほかのアプリをつなぐ橋渡しの仕組みです。

MCPそのものは、2024年11月にAnthropic(Claudeの開発元)が公開したオープンな標準規格です。Manusはこれに対応した「コネクタ」の機能を追加し、GmailやGoogleカレンダーなどとつなげられるようになりました。

3-1. これまでは「API」の壁があった

これまで、AIをほかのアプリと連携させるには、API経由でアプリごとにプログラムを書く必要がありました。プログラマーではない僕たちには、ハードルが高すぎました。「API」と聞いただけで、無理だと思ってしまいますよね。

その「無理そう」の壁を取り払ってくれるのが、MCPです。

3-2. USB-Cのように「つなげば使える」

MCPは「AI界のUSB-C」と言われています。たとえば、AppleのMacBookとソニーの一眼レフカメラをUSB-Cケーブルでつなげば、写真や動画を取り込めます。これはUSB-Cが標準規格だからできることです。

MCPは、AIと外部アプリをつなぐための標準規格です。MCPを使えば、AIであるManusが、Gmailのメールの中身やGoogleカレンダーの予定を直接読みに行けます。Manusが、外部のアプリを自分の手足のように使えるようになるわけです。

3-3. つなぎ方はかんたん

Manusの画面には「コネクタ」という項目があり、「コネクタを追加」から外部アプリをつなぎます。動画の時点で、40以上のアプリとつなげることができました。

つなぎ方はとてもかんたんです。GmailやGoogleカレンダーなら、ManusからGoogleアカウントにログインするだけです。僕はPayPal for Businessもつなげましたが、これもIDとパスワードを入れるだけで、あっという間につながりました。ほかにも、Notion、Zapier、Asanaなどがあり、これからも増えていくと思います。

4. Manus×MCPの実例3つ

ノートパソコンの前でスマートフォンを見ながらメールを確認するスーツ姿の女性

ここからは、僕が実際に試した3つの使い方をご紹介します。

4-1. Gmail:長いメールのやり取りから、案件の状況をまとめる

僕は普段、動画制作の案件でクライアントさんとメールでやり取りしています。よくあるのが、3か月前に出した見積もりに対して、まるで今送ったかのように「B案で行きたいのですが、B案ってどんな内容でしたっけ」と返信が来ることです。

3か月前のことなので、僕も覚えていません。過去のメールをさかのぼって、中身を思い出していくのは本当に面倒です。

そこで、Manusにこう指示を出しました。

  • Gmailに届いている〇〇さんからの案件について、進捗がどうなっているか教えて

Manusは仮想のパソコンの中でメールを順番に調べ、「現在のステータス」「見積額」「スケジュールの予測」を中心に、短い報告書を作ってくれました。正式発注済みで仕様の確定待ちであること、確認事項2点の回答待ちであること、見積もりは過去4回提示していること、今後のスケジュールの見込みまで、あっという間に分かりました。

メールを掘りながら「そうだった、そうだった」と思い出していく作業がいらなくなるので、これだけで軽く30分は節約になります。正直、衝撃を受けました。

4-2. Googleカレンダー:撮影の候補日を3案出す

クライアントさんから「今月か来月で、撮影できる候補日をいくつか挙げてください」と頼まれることもよくあります。

これまでは、自分でGoogleカレンダーを見て空いている日を探し、その候補日をChatGPTに貼り付けてメールの文面を作ってもらい、Gmailで送っていました。

Manusには、たとえばこう指示します。

  • 2025年10月15日から10月31日の平日で撮影を検討しています。前後に予定が入っておらず、4時間確保できる日程を3案ピックアップしてください

送信すると、ManusがMCP経由で僕のGoogleカレンダーを見に行き、空いている時間帯を調べて3案を出してくれました。しかも、ただ並べるだけでなく、「最も推奨する日程」とその理由まで書いてくれます。まさに有能な秘書です。この仕事の進め方は、人間も見習う必要がありますね。

4-3. PayPal:Instagram広告費の合計を出す

3つ目は、PayPal for Businessと連携して、Meta社(Instagram)の広告費の合計を出す使い方です。モデル事務所のアカウントで、地味にInstagram広告を出しているので、今年いくら使ったかを把握したいと思っていました。

これまでなら、PayPalの取引履歴を見たり、エクスポートしてExcelで計算したりしていました。面倒すぎて、全然続きませんでした。

Manusへの指示は、たとえばこうです。

  • 2025年にPayPalを使ってMeta Platformsへ支払った金額(Instagram広告費)の合計額を教えて

すると、Manusが僕の代わりにPayPalの履歴を見に行き、調査結果をまとめてくれました。特に指示していないのに、グラフやレポートまで作ってくれます。月別の支払いだけでなく、「継続的に広告に投資している」「6月に集中して投資している」といった特徴、月の平均額、取引の件数まで分析してくれました。気が利きすぎです。

同じように、「PayPalで一番多い支払先を教えて」「支払先をカテゴリー別に分析して」といった指示にも対応してくれます。優秀な経理アシスタントを手に入れたような感覚です。

このように、Manus×MCPなら、いくつものアプリにまたがる作業も一度の指示で終わります。Gmailでの情報整理、Googleカレンダーでの予定調整、PayPalやStripeを使った売上・費用の計算まで、1つの指示で自動で進む。AIが作業の完了までやりきってくれる体験は、本当に衝撃的でした。

5. Manusの料金(動画の時点)

Manusには、無料プランと有料プランがあります。動画の時点では、無料プランだとManusの強みであるエージェントモードを十分に使えず、Manusの本領は発揮できないと感じました。

有料プランは3つあり、月額はベーシックが19ドル、プラスが39ドル、プロが199ドルでした。年額払いにすると17%安くなります。MCPなどの外部アプリ連携や、複雑な作業を自動でこなすエージェントモードは、これらの有料プランで使えます。プランによって、付与されるクレジット(使える量)が変わります。

※料金とプランは動画の時点のものです。その後、プランの名前や内容が変わっているので、最新の情報はManusの公式サイトで確認してください。

6. まとめ:AIに何を任せて、何を自分でやるか

オフィスの窓際で腕を組み、外を見ながら考えるスーツ姿の男性

Manusの魅力を一言でいえば、AIが本物の秘書のように働いてくれることです。メールの整理、予定の調整、資料の作成といった細かな作業を、人間の秘書に任せるようにAIが代わりにやってくれます。

その分、僕たち人間は、判断すること、戦略を立てること、クリエイティブな発想をすることなど、本来力を注ぐべき仕事に集中できます。仕事のやり方そのものが、細かな作業の積み重ねから、「AIに指示を出して、結果を確認する」形に変わっていくのだと思います。

もちろん、Manusは万能ではありません。それでも、これまで壁になっていた「ツールとツールの間の断絶」を乗り越え、完成物までAIに任せられるようになった意義は大きいと感じています。

ChatGPTのような生成AIは、頭脳として引き続き重要です。ManusとMCPは、その頭脳が手足を手に入れたようなイメージです。これからの時代、AIはただの便利な道具ではなく、頼れる相棒になっていきます。

何をAIに任せて、何を自分でやるのか。その見極めが、これから問われていきます。「AIを使いこなす人」から「AIと一緒に成果を出す人」へ。興味が湧いた方は、ぜひManusを試して、これからの働き方を体験してみてください。